精神科医の廣瀬久益先生が考える「不登校」3つの必要な対策について

平成30年2月に文部科学省が発表した平成28年度の小中学校の不登校児童生徒数は全国で14万人を超えております。

小学生でも中学生でも学年が上がるにつれ不登校の児童生徒が増えています。

文部科学省の調査だと、学校に係る要因としては、いじめ、いじめを除く友人関係をめぐる問題、教職員との関係をめぐる問題、学業不振、進路に係る不安、クラブ活動・部活動等への不適応、学校のきまり等をめぐる問題、入学・転編入学・進級時の不適応といった感じに区分しています。

そのような状況の中、2012年にも一度取り上げましたが、2017年に改めて不登校について廣瀬先生が3つの必要な対策についてお話ししてくれました。

 

対策1・学校に行かないこと。

繊細な心を持ってる子供たちは多い。言葉や雰囲気を敏感に感じ取る子も多い。例えば他の児童生徒がいじめに合ってる場面を見たり聞いたりするだけでも辛く感じ、一人ぼっちのような気持ちにもなり、耐えがたく、恐怖を感じ、学校の外に出るしかなくなる。子供たちの居場所は家しかない。

例えばワニがたくさん入ってる檻の中に入ってワニの背中を洗えと言われる。ワニは人を襲わないから安心しろと言われても、恐怖を感じて檻の中に入れない人はたくさんいる。それと同じで恐怖を感じてる学校に無理に行かしてはならない。

対策2・孤立してしまうので親として受け皿を早い時期に作ること。

兄弟の中に例えば障害を持ってる子が居てお母さんが常に大変な場合や、旦那さんや他の家族としょっちゅうケンカしているような状況の場合、これ以上親に負担を掛けられないと、素直に受け皿を求められない状況になってしまうこともあり、そう感じる子供たちは「大事な家族に迷惑をかけてる。学校にいけない自分が悪いから、消えた方が良いんじゃないか」など希死念慮(死にたい願望)を本気で考えてしまう子供たちが多いという事実。そうならないためにも自信を持って全てを受け止めること。それを先生は全面受け止めと言っています。

対策3・適切な治療を受けること。

以前、先生は上記の対策の1~2のみを伝えてきたそうですが、それですととにかく時間が掛かり過ぎると。(何年も同じ状況のままだったり)

そこで今回から3つ目の対策として治療を受けることを追加しました。

不登校の形を大人に当てはめて考えるとPTSD(心的外傷後ストレス障害)と考えて間違いないのではないかと。

それであればそれに合ったケアが必要であると。

PTSDになると、自分の気持ちが調整できなくなってしまいます。ちょっとしたことでイライラして親と衝突する。で、そのあとでそんなことをした自分に落ち込む。それを繰り返してしまう。

そのようなPTSDの側面、または気分循環性障害のような側面を持ってるということを知り、その側面の部分の治療をしっかりとやった方が良いケースも多い。そうすると本人の気分もかなり楽になり、余裕も出てきて将来のことも親と考えられるようになったりする可能性もでてくる。

また、すこぶる落ち込む人もいる。意欲もでない。物事への関心もなくなる。鬱気分。心的エネルギーがほぼ枯渇している状態の場合、その時はウツの治療も大切。ただSSRIは、かなりの高い率で副作用がでて色んな問題が起こる可能性が高いので、先生は基本使わないと。

積極的に治療することによって、本人の回復が劇的に早くなってるとのこと。

 

先生は明らかな理由なく不登校になる場合が多いと感じているとのこと。

だから子供たちも学校に行かない(行けない)理由をうまく伝えられない。

親としては理由が言えないということは、理由はない=サボりだろうって考えてしまう。

子供としては「ただ辛くていけない」のを分かって欲しいのに、苦しさを分かってくれずお説教されるだけで、自分の理解者ではないと考えてしまう。親も子も一生懸命なのに歯車がかみ合わなくなってしまう。

先生のお話しは親である私たちに対しての警告として色々な事例を交えて考えるキッカケを与えてくれています。

今回のタイトルは不登校となっておりますが、先生は大人にも当てはまるのではないかと。

20代、30代、40代などで、会社に何故かいけなくなった理由、その中にいることが耐えられないなど、社会にうまく適応できない人にも今回の対策は当てはまるのではないかとのこと。

動画の再生時間は27分ちょっとですが、私にはあっという間に感じました。もちろん先生の考えが絶対正しいとかを伝えたいわけじゃなく、このような考え方もあるということを知ってもらいたく、当サイトで紹介させて頂きました。

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